さて、もう少し彫物を詳しく見てみよう!。
正面の獅噛の下、懸魚には‘鳳凰’、
桁隠し(降懸魚)には、‘麒麟’が彫られている。
桁隠しには、おもに鳥類が彫られるが、‘麒麟’の彫刻は、北河内方面ではめずらしい。
北河内型でもう一台、麒麟を彫ったものが高槻にある。
(野田)
この地車は、もとは北河内方面のだんじりである。
野田地車も獅噛を見ての通り、‘彫清’系の彫刻である。
(彫清系の彫物は、高欄より上の屋根廻りの彫物のみ)
続いて、後面は正面と同じスタイルの獅噛と、
懸魚には‘応龍’、桁隠しには尾がヒレに代った‘応龍’が彫られている。
尾のない応龍は、子の応龍を意味するものだろうか?。
この深野北の獅噛と同等のものを探してみた。
下のものは、ほぼ同じ形相のもの。
(西櫻木)
(猪飼野)
西櫻木地車(尼崎)も、もとは大阪市生野にあっただんじり。
生野区には彫清系のものが多くあり、他に‘腹見’や‘田島’の獅噛は、‘氷野’と形相が類似する。
もうひとつ、深野北地車でベストの彫物がある。
ちょうど、台棒に隠れてその全貌を見られるのは、台棒を外したときなので、大変もったいなく思える。
三枚板に彫られる彫物に匹敵するほどの彫刻であり、これほどの唐獅子群を泥幕に彫ったものは、
このだんじり以外にない。
つづく・・・。