昭和九年、非常に勢力の強い第一室戸台風が関西圏を襲った。
寝屋川市にある河北大神社も甚大な被害を被り、
境内にある大楠?の大枝が折れ、傍にあった地車小屋を倒壊させた。
もう曳かれなくなっていたのか、大枝とともに地車も処分され
雁屋の某宅へ地車は運ばれた。
当時、雁屋の隣町にある旧北出地車は、小屋横の池に落ちて損傷が大きかったので
この河北の地車を譲られたそうである。
北出地車は、背高約4.8メートルの北河内讃良型で
ほぼ雁屋地車と変わらない大きさである。
この地車は、河北(河内屋北新田)で新調されたものでなく、
‘布市’から買い入れたそうである。
屋根廻りの車板や枡合、縁葛や泥幕などは花岡系の彫で、
獅噛や桁隠し、木鼻や柄振板、花台などは服部系の彫に分かれている。
ただ、拝懸魚の彫は、他の彫よりも傑出しており、
両彫師の系列と異なる。
つづく・・・、