水墨画には宗教的な禅画がある。
禅画には、インドでの開祖として達磨大師が多く描かれている。
不動の精神力を持った達磨は、素人が描いたものからお坊さん、御用達の絵師のものまでさまざまのものがあるが、全体に引き締まっており、禅の呼吸法の‘吸う’、‘吐く’の精神が筆跡に現れていないと良い達磨画とは言えない。 つまり、衣の描法について見れば、吸い込む線と払う線の交互の流れが生きていないといけない。
近代描かれる達磨画には、この精神が全く無視されていて‘達磨’と思われない、ただの髭面のおつさんの絵となっているものが多くある。
これは、雪舟十二代、長谷川等叔による達磨画である。
雲谷派に従事したとはいえ、その筆筋は長谷川等伯の流れによるものだといえる。