一般に太鼓台と言えば、‘蒲団太鼓’が主流だが、大和方面(奈良)には
屋根のある太鼓台が存在する。
社寺建築で見られるような、入母屋造りの屋根と唐破風(軒唐破風)を
組み合わされた複合の屋根を備える。
まさに、社殿といようか、お堂のミニチュア建築で
これまた姿かたちが非常に美しく華麗である。
これらの太鼓台は‘大和型太鼓台’と呼ばれている。
奈良全域にあるわけでもなく、ほぼ天理・櫻井方面から
宇陀・東吉野方面に集中される。
宇陀・東吉野方面のものは、屋根の妻が上に大きくはねている。
大和型太鼓台を大別すると、
丸瓦を葺いた形状のものと板葺きのものとに分かれる。
板葺きのものは、あっさりした印象を受けるが、
丸瓦のものは、非常に凝った造りで、細部の枡組に至るまで丁寧に作られ、
さらに装飾彫刻を施され、豪華さをもつ芸術作品のようである。