伏見にある御香宮神社前の大手筋通りを西に入ったところ、
商店街の北面に大光寺がある。
本堂は新築だが、この薬師堂は天明七年(1787年)、
知恩院宮御門跡の旧御殿の拝領とある。
薬師堂の蟇股の親子唐獅子や獅子鼻、象鼻、手挟の牡丹、
桁隠しの降鶴仙人の彫物など非常に丁寧に彫られている。
興味深いことには、堂周囲に十二支が彫刻されていることである。
これは、おそらく虎
この先の彫物は、商店の塀などで見ることができない。
これらの彫物は、天明七年以前の作とは考えられないと思い、
よくよく調べてみると、慶應~明治初期の再建とあった。
これで納得がいった。
天明七年の『拾遺都名所図会』には、
この大光寺が描かれており、壮大な境内が窺える。
現境内は本堂と庫裏、この薬師堂を残すのみで、
商店街と宅地に苛まれている。
『拾遺都名所図会』より
大光寺の北西に西方寺がある。
西方寺
境内はさほど広くないが、山門、鐘楼、本堂、庫裏と表玄関を備える
高尚な風格のある寺院である。
本堂
本堂は象鼻と迎え龍の蟇股
庫裏と表玄関
表玄関の彫物
仔細なデータはないが、庫裏と表玄関は本堂よりも後期の建立とみる。