寺社彫刻でもっとも多く彫られている霊獣は、‘龍’である。
大概の龍は、狩野探幽の水墨画などから模倣されたものか、
何故かグニャグニャとした印象を受ける。
日光東照宮
陽明門
おおかたの龍の彫物は、この容姿になるが、
かっての浪花彫物師の龍は、
シンプルでシャープ、おまけにハンサムさを備えている。
長く伸びる口ひげも銅線を使用し、かっこいい。
特に八代目源助は、龍の彫物を得意としていた。
蒲生聖賢
ここで、八代目源助の龍の傾きを合わせて見てみると、
茨田大宮
北條中ノ町
経寺
古町
雁屋
奄美 (T氏提供)
こう並べてみると、ずいぶん眼の入れ方で印象が変わるものである。
明治15年以降から、弟子(九代目源助)による仕上げなど、見られるものの
やはり、これらの龍は八代目の本質といっても過言ではないと思われる。