ここは、とあるお寺さん。
(蓮光寺)
正面の蟇股は、いつもの彫物とちと違っていた。
おおっ・・・、これは‘波に犀’の彫物。
正面(メイン)に彫られたものは、過去に一件あったのみ。
これは非常に珍しい!
しかも、上々の出来。
お隣の獏鼻を見れば、
これはこれは、源蔵さんの彫のよう。
他の彫物といえば、
向拝手挟の菊の彫物。
この菊の彫では、判らない。
ご住職に尋ねれば、詳しいことは判らなかったが、
「ここの彫物は、たいしたことがない」とおっしゃった。
何の何の私にとっては、ここの彫はベストの出来栄え。
今までの観てきた源蔵さんの中で、最高の獏鼻と思われる。
ちなみに、以前の源蔵さんと思われる獏鼻をあげると、
五劫寺
正念寺
正面の彫に戻って、
「題簽欠」 享保三年刊より
「犀」とは架空の獣で、めでたい瑞獣として扱われるが、
もともと、インドかスマトラのサイを初めて見たものが、‘頭に角があり、体は亀の甲羅のように堅く、駆け走る’というイメージで伝承し、中国から日本に渡り、このような想像上の獣になったと思われる。
さて、この犀、
小松源蔵の彫と実証するものがない。
というのは、源蔵さんの‘犀’の彫が他に見当たらないのである。
それは、困った。
どこか共通点はないかと探してみた。
波頭や雲はともかくとして、
耳の彫に共通点があった。
例えば、八代目源助さんの龍の耳は、源蔵さんのそれよりも長く、
雁屋 (八代目源助)
源蔵さんのは、こじんまりとしている。
犀 蓮光寺
以下、源蔵さん( ・・・と思われるもの) の龍の耳をアップすると、
善根寺
湊浦
上田原
ホヤのような形状と切り欠きがあるのも特徴と言えるだろう。
これ如何に?