小松福太郎の彫には、謎が多い。
親とされる源蔵や八代目源助との共作もみられ、
オリジナルの彫が限られる中、
新たに西宮名塩に福太郎がいた。
(西宮名塩 北之町)
ここのだんじりに‘福太郎’の墨書きがあったと言われている。
それでは、その彫を観て行こうか。
この獅噛を見れば、ほぼ小松、どちらかと言えば八代目源助に近いデザインだ。
八代目源助の龍よりシャープさに欠けるが、南新田のものと比較すると、
(南新田・元町)
北之町の枡合の龍では、
(西宮名塩 北之町)
龍の顔と麒麟の顔は、ほぼ一致するので
南新田の麒麟と比較すると、
(南新田・元町)
しからば、後面車板は、というと・・・、
(西宮名塩 北之町)
いや、ちよっと違うのではなかろうかと思われるが、獅子の正面顔を見れば、
(西宮名塩 北之町)
(南新田・元町)
(打上上)
ほぼ顔の相とイメージが一致する。
細部を確認すると、足廻りに特異的なところが見られなかったので、尾の彫に注目した。
(西宮名塩 北之町)
(南新田・元町)
このシンプルで漂うような尾は、福太郎ならではの彫であろう。
なお、懸魚の鷲は八代目源助風、脇障子には‘竹に虎’が彫られているが、
福太郎の虎が見いだせないので割愛させていただこう。