ここに‘九代目小松刀’と刻まれた超豪華彫刻の山門がある。
善光寺山門は台風の被害を受け、この時は修復中であった。
正面に彫られた巨大な龍
何と、爪が五本もある。
後面に彫られた巨大な親子虎
欄間の牡丹
「大阪市本町四 九代目小松 刀」
どうも九代目の彫には、まゆつばものが多いと思われる。
この銘刻みを見れば、どうも素人ポイ感じがしてならない。
牡丹の欄間はさておき、
龍の彫はあまりにも、ぐにゃぐにゃとし、
虎の彫も迫力に欠け、笹の葉や滝の流れが単調すぎる。
だが獅子鼻を観ると、
弓場の獅子鼻や木津の二丁目のふとん太鼓のものに
似るところがある。
この獏鼻は、十代目松雲のものとは異なる。
側面にも様々な彫刻がしてあり、
未だかって私はこのクラスのものを見たことがない。
(日光東照宮陽明門を除き)
中でも、この霊亀の彫は秀逸である。
この門内の亀の彫物と比べて見ればよくわかる。
立体的に彫られた鶴や
虎
ただ後面の虎の顔は、やはり芹生谷の虎に似るところがある。
もう一つ、秀逸な彫がこの門扉の欄間
この唐獅子には、かなり手が込まれている。
上の唐獅子とは若干、手の入れ方が異なる。
おっと、これはどこかの鳳凰の首が間違って付けられている。
要するに、九代目が担当して彫っていたが、
途中で亡くなり、後の彫師が仕上げるなり、また新しく彫るなどして
銘を刻んだと思われる。
だから銘に、‘九代目小松源助’と書かれていないのは、
こういうことなのだろうか?