西宮の北方、甲山の麓に神呪寺 (かんのうじ) がある。
別名、甲山大師とも呼ばれ、弘法大師も祀られている。
急な石段を登りつめると、正面に本堂がある。
本堂 蟇股
どこかで観たような龍、
これは相野さんだ!!
同 獏鼻
同 手挟
波
本堂再建は、天保11年 (1841年)であるから、
以上の彫物はその頃のものであると考えてもよいのでは?
隣の大師堂 大正元年(1912年)建立
うむ、この彫物は…?、
‘松’は判るのだが・・・、
拡大すれば、
松の上に蓮座があり、
その上に密教に使う“三鈷杵”という法具。
これは「三鈷の松」と云われる伝説。
弘法大師空海が、唐から帰ったときに三鈷杵を遠くへ放ち、
遠くの松の木に三鈷杵が引っ掛かり、瑞光を放していた。
この地(高野山)に仏教を開いたというはなし。
同 手挟の梅
多宝塔 (昭和55年落慶)
仁王門
文化元年 1804年 建立
仏像以外、彫物らしきものが見当たらなかったが、
同 木鼻
ここに象さんに見える木鼻があった。
さて、本題!
この龍、非常に伊兵衛さんに似ているが、
スタイルや肢形状が少々異なる。
ちなみに、彫の近いものを探してみた。
高濱神社 (吹田)
専稱寺 (天理) 弘化三年1846年再建
南林寺 (吹田)
ここの龍はどちらかと言えば伊兵衛さんのよう。
獏鼻
神呪寺
南林寺
高濱神社
以上の獏鼻は、何点か一致する箇所がある。
高濱神社の獏鼻は、伊兵衛さんに近いが、・・・
まあ、伊兵衛 (直之) さんとほぼ同年代に活躍した同僚の彫師であろうか?
では、伊兵衛直之さんのオリジナルの獏鼻と思われるものといえば、
尊光寺 (藤井寺) 天保十二年 1841年
大念仏寺霊明殿 (大阪市平野区)